おしらせ

●無線通信研究120周年について

無線通信は、1895年にイタリアのマルコーニによる実験成功をきっかけに、その実用化が始まりました。我が国では、その翌年の1896年（明治29年）に、当時の逓信省電気試験所が研究に着手しました。続いて無線通信の軍事的価値に気づいた海軍も、その電気試験所から技師を招いて研究を始め、1904年（明治37年）に勃発した日露戦争において、無線電信が日本海海戦を勝利に導いたことは、司馬遼太郎の小説 「坂の上の雲」などに描かれています。

当時の最先端技術であった無線通信の研究が、極めて早い時期に我が国でも始まったことは、先進諸国に早く追いつこうとした明治期の技術者・研究者たちの努力を物語ります。今年2016年は、その無線通信の研究が我が国で始まって120年の節目に当たります。

●つくば市での8N120ICTの運用について

120年前に無線通信の研究を始めた逓信省電気試験所は、強電から弱電までの電気技術全般を担う我が国唯一の国立の試験研究機関でしたが、太平洋戦争の終戦後に、電力と計測標準などの強電系の試験研究については、逓信省から商工省（現在の経済産業省）に移管され、産総研の源流の一つになりました。一方、電信電話と無線などの弱電・通信系の試験研究については、逓信省に新たに発足した電気通信研究所に引き継がれ、現在のNICTのほか、NTT研究開発センタやKDDI研究所などに生まれ変わりました（別紙参照）。

東京・五反田にあった逓信省電気試験所の本館（1941年撮影） 跡地は現在、NTT東日本関東病院（旧・関東逓信病院）になっています。

つくば市には、1970年に電気試験所から改称して産総研の源流の一つになった、電子技術総合研究所（電総研）の本部が所在していたことから、同所の無線クラブ（JR1YAU、現在は廃局）の元メンバーで、産総研に勤務している職員・OBらが、NICTの職員らと合流して、記念無線局8N120ICTを、つくば市において1日限定で共同で運用することになったものです。

1913年（大正2年）の逓信省電気試験所研究報告（NICT蔵書） 鳥潟右一博士による、TYK式無線電話機（世界初の実用無線電話）の論文の表紙です。左下に「逓信省電気局電気試験所平磯分室」（現・NICT平磯太陽観測施設）の蔵書印が押されています。	1999年（平成11年）の通商産業省工業技術院電子技術総合研究所（電総研）研究報告 産業技術総合研究所（産総研）に統合される直前の論文です。表紙のデザインが左の鳥潟論文とほとんど変わらないことが、逓信省電気試験所の直系機関であったことを物語っています。

3月19日（土）は、NICTつくば連携実験施設（写真）に無線機とアンテナを仮設して、午前11時頃から夜まで、7MHzから430MHzまでの各周波数帯で運用する予定です。

8N120ICT運用の会場となるNICTつくば連携実験施設 （茨城県つくば市吾妻2-5-5）

今回の活動によって、我が国を代表する研究学園都市であるつくば市およびその周辺の皆さんに、無線通信研究の歴史の節目の年が広く周知されることを、実行委員会は願っています。

NICTつくば連携実験施設における無線通信研究120周年記念局 8N120ICTの運用予定
運用日時	無線設備の設置調整に要する時間により、運用時間は前後する場合があります。
	2016年3月19日（土）11時頃〜20時頃　雨天決行
運用場所	国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）つくば連携実験施設 （茨城県つくば市吾妻2-5-5） つくばエクスプレスつくば駅徒歩5分、市立吾妻小学校の隣 同じ建物内に、つくば市産業振興センターがあります
運用予定周波数帯	HF〜430MHz
※同施設は一般の方の立ち入りが自由に出来ない構造のため、見学ご希望の場合はお手数ですが事前に実行委員会までご連絡下さい。

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