【記念局Tips】既存社団局を流用した記念局の免許状について

総合通信局によって記載事項が異なるようです。

2018年12月1日公開
2018年12月2日改訂

JARL以外が記念局を開設するには、その局のために新たに無線機を揃えて新規開局する方法(免許期間は記念行事の期間)と、既存の社団局の免許を流用して呼出符号を一定期間だけ変更する方法の、2通りがあります。電波研クラブではこれまで、既存の社団局JR1YPUの呼出符号を一定期間だけ変更する方法で、記念局を開設してきました。変更申請書には、記念局の計画書(希望する開設期間もその中に記載)と公的機関の長の開設賛同書を添えます。

これまで電波研クラブが関東総合通信局管内で開設してきた5つの記念局について、免許状は以下のようになっていました。

8J125ETLの免許状
  1. 免許の番号は、元の社団局のまま。
  2. 識別信号(呼出符号)は、記念局のもの。
  3. 免許期間は、元の社団局のまま(5年間)。
  4. 備考欄に「この識別信号の使用は、○年○月○日から△年△月△日までとする。」と記載される。
  5. 免許状の発行日は、記念局の開始日と同じ(○年○月○日):実際の発行日よりも後

4.について
既存社団局流用型の記念局は、社団局が一定期間だけ記念局コールに変えられただけですので、局自体の免許期間は元の社団局の5年間のままです。しかしそれでは記念局コールを使える期間がわからない(免許状に現れない)ため、備考欄に注記されるわけです。

5.について
免許状は、最も新しい(発行日が遅い)1枚だけが有効になるものですので、記念局の開始希望日よりも前に記念局コールの免許状が手元に届いてしまうと、その発行日から記念局開始日までの期間は、元の社団局コールでは出られず(最新有効な免許状の識別信号欄にそのコールが書かれていないから)、かといって記念局コールでも出られず(備考欄に使用開始日が記載されているから)、どのコールでも運用できない無線局になってしまいます。そのため、実際に発行されて申請者の手元に届く日付よりも未来の、記念局の開始日を発行日とする免許状が、発行されることになります。

それに対して、電波研クラブが近畿総合通信局管内で初めて開設した記念局8N30ICT(2018年12月1日開始として申請、既存社団局JL3ZJMの流用)の免許状は、以下のようになっていました。

8N30ICTの免許状
  1. 免許の番号は、元の社団局のまま。
  2. 識別信号(呼出符号)は、記念局のもの。
  3. 免許期間は、元の社団局のまま(5年間)。
  4. 備考欄には何も記載されていない。
  5. 免許状の発行日は、実際の発行日(記念局の開始日よりも前の日付)

4.と5.が、関東管内の記念局と異なっていました。すると、私は以下の疑問を抱きました。

「記念局の期間が免許状に現れないため、免許状が届いた日(記念局の開始希望日よりも前)から、無線局免許期間の最終日(8N30ICTの場合は2023年9月17日)まで、記念局コールを使えてしまうことにならないか?」

さっそく近畿総合通信局に電話で問い合わせました。すると回答は以下の通りでした。

特に3番目の回答は意外でした。
記念局は、ある行事のために開局するものですから、本来はその行事の期間(申請書記載の希望期間)しか運用しないはずだし、それよりも前にテストで運用する必要もあるだろうからフライングも構わない、という緩い感じでした。8N30ICTは申請書記載の希望期間が終了する2020年3月31日以降に、元のJL3ZJMにコールを戻す変更申請を行うことになりますが、希望期間終了後であっても、変更後のJL3ZJMの免許状が届くまでは、引続き8N30ICTを合法的に運用し続けられるのでしょう。

記念局の活動は自ずと行事の期間に従うはずなので、行事の期間が決まっているのならば、免許状に記念局の開設期間をあえて明記する必要はないという考え方なのでしょうか。「記念局の開設期間」という概念が、あいまいに思えてきました。

アマチュア局の免許は、各総合通信局長の決裁ですから、総通局ごとに方針が異なっていても別に不当ではないと思います。各地で記念局を作ってみて、違いが見えたのは良い経験でした。

おわり

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