おしらせ

我が国の無線通信の歴史にまつわる2つの記念局
8N120ICTと8J100JRCが合同で運用します

2016年2月15日

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、東京都小金井市貫井北町4-2-1)およびアンリツ株式会社(神奈川県厚木市恩名5-1-1)に勤務するアマチュア無線家の有志は、共同で「無線通信研究アニバーサリーアマチュア無線記念局リレー実行委員会」を結成し、我が国の無線通信研究120周年の記念局8N120ICTを、昨年12月から運用しています。

一方、日本無線株式会社(JRC、東京都三鷹市下連雀5丁目1-1)に勤務するアマチュア無線家らによる「日本無線アマチュア無線クラブ」(JJ1ZXE)も、無線電信法公布100周年並びに同社創立100周年の記念局8J100JRCを、昨年8月から運用しています。

このたび、我が国の無線通信の歴史の節目を記念するこれら2つの記念局が、2月27日(土)にアンリツ(株)社内から、および3月13日(日)に日本無線(株)社内から、合同で運用することになりました。

明治から大正時代の無線通信の黎明期に創立し、今日まで我が国のワイヤレス技術を先導してきたNICT、アンリツ、日本無線の3社のアマチュア無線家による今回の合同運用は、無線通信の歴史の節目を広く紹介する有意義な活動となります。

●無線通信研究120周年について

無線通信は、1895年にイタリアのマルコーニによる実験成功をきっかけに、その実用化が始まりました。我が国では、早くもその翌年の1896年(明治29年)に、NICTの前身組織(逓信省電気試験所)が研究に着手しました(写真)。

逓信省電気試験所による日本初の無線電信実験
逓信省電気試験所による無線電信初公開実験時の装置(1897年12月、東京・月島海岸)
(電波監理委員会編「日本無線史」第3巻, p.17 (1951年) より引用)

続いて無線通信の軍事的価値にいち早く気づいた海軍も、その電気試験所から技師を招いて研究を始め、1905年(明治38年)の日露戦争の日本海海戦において、「敵艦見ゆ」の無線電信が同海戦を勝利に導いたことは、司馬遼太郎の小説 「坂の上の雲」などに描かれています。その時に使用された海軍三六式無線電信機は、後に日本無線(株)の共同創業者の一人になる木村駿吉博士[Wikipedia]らの設計に基づき、アンリツ(株)の前身会社(安中電機製作所)が製作しました。

今年2016年は、無線通信の研究が我が国で始まってから120年の節目に当たり、また、これに始まる無線通信の黎明期に、逓信省電気試験所が発明したTYK式無線電話機の製造に携わったアンリツにとっても、昨年は前身の一つである合資会社石杉社(後の共立電機電線)の創業から120年にあたるため、NICTの職員有志とアンリツの社員有志が共同で、アマ無線記念局8N120ICTを昨年12月1日に開局し、今年11月30日まで運用しています。

●無線電信法公布100周年並びに日本無線(株)創立100周年について

明治時代には無線局の開設は国つまり軍や逓信省等が独占していましたが、1912年のタイタニック号沈没事故をきっかけに船舶無線の重要性が高まったことから、1915年(大正4年)に無線電信法および私設無線電信規則が公布され、無線局の私設が認められることになりました。この無線局数の急増に伴う無線装置の需要激増の商機を捉えて、同年に日本無線(株)の前身(匿名組合日本無線電信機製造所)が創立しました。また同時に、私設無線電信通信従事者資格検定規則も公布され、私設無線局のための通信士の大量養成が必要になったことから、翌1916年(大正5年)にアンリツ(株)の前身会社(安中電機製作所)が、「帝国無線電信通信術講習会」を工場内に開校しました。同講習会の業務は、1918年(大正7年)に安中電機から社団法人電信協会に移管され、無線電信講習所を経て、現在の国立大学法人電気通信大学(東京都調布市調布ヶ丘1-5-1)になりました。そのため同大学は同年を創立年とし、まもなく100周年を迎えます。

これら一連の動きのきっかけとなった無線電信法の公布100周年と日本無線(株)創立100周年を合わせて記念する8J100JRCは、昨年8月1日にコールサインをJJ1ZXE(日本無線アマチュア無線クラブ)から一時的に変更して開局し、今年3月31日まで開設しています。

●合同運用について

8N120ICTを運用する無線通信研究アニバーサリーアマチュア無線記念局リレー実行委員会は、一昨年12月1日から昨年11月30日まで1年間に渡り、逓信省電気試験所平磯出張所100周年&標準電波JJY75周年記念局8N100ICTを運用し、昨年9月12〜13日に、横須賀リサーチパーク(YRP、 神奈川県横須賀市光の丘3-4)において、8J100JRCとの合同運用を行いました(写真)[活動報告はこちら]

YRP1番館屋上に8J100JRCと8N100ICTが数メートル離れて陣取り(2015年9月12日)JN1YRPの無線室で合同運用(2015年9月12日)

120年前の無線通信研究の開始と、100年前の無線電信法の公布は、共に我が国の無線通信の歴史における重要な出来事であることから、8N120ICTと8J100JRCについても再び、今度はゆかりの会社において合同運用する機会を設けることになったものです。

今回の合同運用は、運用場所となる各社のご理解とご協力を得て、それぞれの会社内に2つの記念局の送信機を持ち込み、複数の周波数で同時に2局が運用し、より多くのアマチュア無線局との交信を目指すものです。

今回の合同運用によって、無線通信研究120周年と無線電信法公布100周年を、広く周知できることを願っています。

8N120ICT × 8J100JRC 合同運用のご案内

運用日時無線設備の設置調整に要する時間により、運用時間は前後する場合があります。
2016年2月27日(土)昼〜夜 雨天決行2016年3月13日(日)昼〜夜 雨天決行
運用場所アンリツ株式会社 本社 (神奈川県厚木市恩名5-1-1)日本無線株式会社 三鷹製作所 (東京都三鷹市下連雀5丁目1-1)
運用協力アンリツ厚木アマチュア無線クラブ (JE1YEM)日本無線アマチュア無線クラブ(JJ1ZXE)
運用予定周波数帯HF〜430MHzHF〜1200MHz
※運用場所は一般非公開です。見学はできません。

無線通信研究120年と無線電信法100年

【本運用に関する予告一覧】 【本運用に関する報告一覧】

8N120ICTのトップページに戻る 連絡先: メールアドレス アクセスカウンター