活動報告
無線の歴史120年&100年を記念するアマ無線局の連携イベント |
我が国における無線通信研究120周年と無線電信法公布100周年をそれぞれ記念する、2つのアマチュア無線記念局8N120ICT及び8J100JRCが、2016年2月から3月にかけて、各地で交信イベントを行いました。
まず2月27日に、神奈川県厚木市のアンリツ株式会社本社において、両記念局が合同で運用を行いました。当日は、アンリツ厚木アマ無線クラブ(JE1YEM)の招待により、8N120ICTを運営する国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と、8J100JRCを運営する日本無線株式会社(JRC)の、それぞれの無線愛好家らが参加しました。それに加えて、市内の七沢希望の丘初等学校において昨年12月2日に実施された、国際宇宙ステーションISSとアマ無線で交信するプロジェクト(ARISSスクールコンタクト)で油井宇宙飛行士と交信した経験を持つ小学生ハム(JI1RCV)も参加し、2つの記念局に殺到する交信相手を、見事なオペレーションでさばいていました。また、アンリツの展示室が公開され、我が国の無線通信と同じ120年の歴史を持つ同社の事業紹介に、参加者が見入っていました。
アンリツ本社屋上に勢揃いした記念局関係者(2月27日) | |
各周波数帯で2つの記念局を交互に運用(2月27日) | 参加者に公開されたアンリツギャラリー。中央は同社が開発した世界初の実用無線電話「TYK式無線電話機」のレプリカ(2月27日) |
続いて3月13日には、東京都三鷹市のJRC三鷹製作所に両局が移動し、合同運用を行いました。当日は、同社のアマ無線クラブ(JJ1ZXE)の招待により、NICTとアンリツの無線愛好家に加えて、東京電機大学(工学部JA1YAQ/JA1YQN、理工学部JN1YYG、中学高校JA1YQZ)、工学院大学、都立多摩科学技術高校(JQ1ZCI)、電気通信大学に進学予定の桐朋高校3年生などの理工系学生・生徒ら約30名を招待しました。当日は通常の交信のほか、アマチュア衛星通信やSSTVのデモも行われ、また1.2GHzや2.4GHzなどの高い周波数による交信デモを、隣の調布市にある電気通信大学の無線部(JA1ZGP)等を相手方として実施しました。さらに、JRCの社員による約1時間の電波伝搬講座が中高大学生向けに開講されました。同講座では、我が国で研究が始まったばかりの黎明期の無線通信技術が、日露戦争における日本海海戦を勝利に導いたことや、タイタニック号沈没事故をきっかけとする無線電信法の公布が、現在のJRCの創業、現在のNICT平磯太陽観測施設の開設、現在のアンリツによる民間初の無線通信士養成所の開校(後の電気通信大学)などをもたらし、無線が広く普及する発端となった歴史が紹介されました。都立小金井高校(当時)に在校中の60年前に無線クラブを結成した東京電機大学講師(JA1BFO)も参加し、同校の流れをくむ都立多摩科学技術高校の無線工作部の生徒たちと、半世紀以上の世代を超えて交流する一幕もありました。
JRC三鷹製作所は、戦前の昭和13年に開設され、当時の重厚な本館が空襲を免れて今も残る、由緒ある事業所ですが、平成28年度中に全面移転し、閉鎖される予定になっています。今回の交信イベントは、同製作所が多くの来訪者でにぎわう最後のイベントになりました。
間もなく姿を消すJRC三鷹製作所に、約70名の老若男女が集合(3月13日) | |
JRC屋上のアンテナ群(3月13日) | ズラリと並んだJRC製アマ無線機(3月13日) |
中高大学生向けに開講された電波伝搬講座(3月13日) | ゲストオペレータの女子高校生ら(3月13日) |
さらに3月19日には、茨城県つくば市吾妻2-5-5にある、NICTつくば連携実験施設において、8N120ICTが単独で移動運用を行いました。当日は、市内にある国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)及びNTTに所属する無線愛好家が駆けつけ、120年前に無線通信の研究を始めた逓信省電気試験所の後身である産総研、NTT、NICTの3機関の有志が連携して、無線通信研究120周年を記念するイベントとなりました。
なお会場のNICTつくば連携実験施設は、NICTの前身の一つである通信・放送機構が開設し、筑波研究学園都市にNICTが設けている唯一の拠点として、超高速ネットワークテストベッドの研究開発に活用されてきた施設です。
移動運用の会場となったNICTつくば連携実験施設(3月19日) | 屋上に仮設したアンテナ群。中央は、隣接するつくばエキスポセンターに立つH-Uロケット実物大模型。(3月19日) |
逓信省電気試験所の後身である産総研からゲストオペレータが参加(JQ1QNW)(3月19日) | 逓信省電気試験所の後身であるNTTからゲストオペレータが参加(JA2SWH)(3月19日) |
無線電信法公布及びJRC創業100周年記念局8J100JRCは、3月31日をもって閉局となりますが、無線通信研究120周年記念局8N120ICTは11月30日まで引き続き、無線通信の歴史にゆかりのある各地に移動して、記念運用を行う予定です。
【本運用に関する予告一覧】【本運用に関する報告一覧】
- 【実行委員会】我が国の無線通信の歴史にまつわる2つの記念局8N120ICTと8J100JRCが合同で運用します(2016年2月15日公表)
- 【実行委員会】無線通信研究120周年記念局8N120ICTが、つくば市から1日限定運用 〜起源が同じ2つの国立研究開発法人の職員有志が研究学園都市で合同QRV〜(2016年3月6日公表)
- 電波タイムズ 2016年2月12日7面「無線通信120周年記念アマ無線局が本格始動 JRCや産総研との合同運用計画」
- hamlife.jp <複数の周波数で2局同時オンエアーを予定>日本の無線通信にまつわる2つの記念局「8N120ICT」「8J100JRC」が2月27日(土)と3月13日(日)合同運用
- 読売新聞(武蔵野版)2016年3月11日朝刊33面「鉄人35号お別れ 三鷹アンテナ塔 無線愛好家らイベント 13日」
- JASTA「SSTV最新情報」3月号(3/19)「無線通信記念局コラボイベントでSSTV運用」
- QTC Japan 3/19「二つの記念局 8N120ICT と 8J100JRC」
- 電波タイムズ 2016年4月18日4面「NICTハム等 無線の歴史120年&100年記念局運用 アマチュア無線家たちが連携イベント」【東京電機大学Webサイト】
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